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|西洋占星術(日々の星占い)

占星術と12星座占いの違い

「占星術」と聞いてまず一番最初に思い浮かぶのは、雑誌やテレビなどで目にする「12星座占い」という方も多いのではないでしょうか。ここでは占星術と12星座占いの違いについて触れてみたいと思います。

占星術はある特定の日時(生年月日・生まれた時間・場所など)を元に、下の画像のような「ホロスコープ」という図を出し、その図を読み解いていく技法です。

ホロスコープ 03/01/2021

このホロスコープの一番外側の円に書いてある「♈」、「♉」、「♊」などのマークが、牡羊座、牡牛座、双子座などのサイン(いわゆる「星座」)です。そしてさらに内側に書いてある「☉」、「☽」、「☿」などのマークが太陽、月、水星などの天体を表しています。

占星術では10種類の天体を、「1人の人間の意識を10種類に分類したもの」と考えます。例えば月は感情の基礎的なパターンなどを、太陽は現実社会の中で自主的に人生を創造しようとする時の方向性などを表しています。10天体すべてがそろってはじめて、その人がどのような人なのか、ということが理解できるシステムになっています。

12星座占いはこの10種類の天体のうちの太陽のみを見たものです。自分が生まれた時に、太陽がどのサイン(星座)の場所にあるのか、というものを表したのが12星座占いです。

12星座占いで自分の星座がしっくりこないという方も多くいらっしゃると思います。それもそのはずで、12星座占いはその人の10分の1の部分にスポットをあてただけのものであるため、例えば10種類の天体のうち太陽は牡牛座にあったとしても、他の9個の天体がすべて他のサイン(星座)に入っていたとすれば、本人の実感が薄かったとしてもしょうがないということです。

また、それぞれのサイン(星座)はさらに30の段階に分類することができます。同じ牡牛座であっても、牡牛座の初期(1~5度)に太陽のある方と、後期(25~30度)に太陽のある方では、そのサインの意識に違いが出てくるのです。(この30のそれぞれの数には「数の原理」の意味が付与されており、この原理とそれぞれのサインの性質のブレンドが、360通り(12サイン×30)の微妙な色合いを作り出します。この360個のひとつひとつに象徴的な言葉を付与したのがサビアンシンボルです)。

サイン(星座)の初期の段階は、ストレートにそのサインの性質を表現しますが、後期の段階では次のサインに移る準備に入るため、自分のサインに飽き飽きしているという表現も出てきます。そのためひとつのサインの中でも後期の段階に太陽などのある方は、自分のサインの性質をストレートに受け入れづらい心理が働く場合もあるのです。

例えば私の身近なところで例をあげると、私の母の出生ホロスコープでは太陽が山羊座の後期(30度)にあります。母はあまのじゃくで、決められたことを押し付けられるのが大嫌いな人です。「こうしなさい」と言われると反対のことをしたくなる性分です。このような性質は明らかに山羊座の次の水瓶座の表現です。

山羊座の性質は、自分の所属する社会の規則や決まり事を大切にし、その決まりの中で着実に成果を出していく、というようなものです。山羊座の次にくる水瓶座は、山羊座の段階を乗り越えた後にくるサインなので、山羊座の段階で決められたローカルな規則や決まり事などを、もっと普遍的なものに高めようと、時には壊しにかかるような性質を持っています。

母の場合、山羊座を内部で30に分けたうちの最終段階に太陽があるため、山羊座を捨てて水瓶座に飛び込もうとするような性質が強調されて出てきていると考えられます。このような母に「あなたの太陽は山羊座にあるので、山羊座のような性質を持っていますよ」と伝えても、「そうかな?」と首をかしげる結果になることは目に見えています。

占星術では、10個の天体を見ることで1人の人の中にある10個の顔を見て、総合的にその人を捉えていくことができます。またサインの中の30の段階を見ることで、色どりを持ったその人の性質が詳細に見えてきます(占星術師の方によってはサインの30の分割を採用していない場合もあります)。

1人1人のホロスコープはほんとうに人それぞれ全然違います(全く同じホロスコープ(星の配置)は、約25000年以上経たなければできないといわれています)。さまざまな天体とサイン(加えてハウス、アスペクト、他の感受点など)の膨大な組み合わせを見て、そこに表現されているその人(や物事)を読み解いていくのはとても楽しく魅力的な作業です。

12星座占いは占星術のほんの一部分しか知ることはできませんが、それでもそこに何か魅力を感じる方がいらっしゃれば、ぜひ本格的な占星術の世界に飛び込んでみてください。そこには学んでも学び尽くしきれないような広大な世界が広がっています。

明け告げ鳥の庭 2021